捜査の違法性を次々と指摘した裁判長の言葉に、法廷で何度もうなずいた。大川原化工機を巡る損害賠償請求訴訟の27日の東京地裁判決。長期の身柄拘束に苦しんだ大川原正明社長(74)は判決後、人質司法だと批判し、捜査側に「謝罪と検証をすべきだ」と強く求めた。起訴されたまま、2021年に亡くなった同僚相嶋静夫さん=当時(72)=の無念を思い「一番悔やまれる」と声を震わせた。判決後の記者会見では、一連の捜査で会社に大きな損失が出た事態に言及。「私たちは名誉回復ができたが、そうでない人はたくさんいると思う」と述べ、冤罪を生まないための徹底的な検証が必要だと強調した。原告の一人で相嶋さんの長男(50)は、持参した遺影を前に「(相嶋さんは)尊厳を踏みにじられ、最悪の形で最期を迎えてしまった。警察も検察も、一日も早く社会に信頼されるような再発防止策を立て、実行に移してもらいたい」と語った。